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遺言書を書かない危ない言い訳

遺言書を書かない人は、何故書かないのか、代表的な理由、言い換えれば言い訳があります。
その1つは、「うちは家族仲がいいからそんなものはいらない」です。
でも、人はそれぞれ、その時々の立場によって主張が変わります。
たとえあなたの前では仲のいい家族の一員で合っても、家族の誰かがいなくなったあともそのままである保証はどこにもありません。
実際に、下記のような事件が私の身に起きました。
日頃から、うちは家族仲がいいから遺言書なんていらない。
大丈夫だよ。
と、兄弟にたいして取り柄はないけど兄弟仲が良いことだけが取り柄かなと思っていたが、母親が脳出血により急死してしまった時のことです。
父はすでに数年前に他界しており、私達息子と娘の3人が残りました。
そして、相続トラブルは、例の如く四十九日の法要の翌日に始まってしまったのです。
私「お前なんて、たまに顔を出すだけだったろうに、親の面倒を見てきたのはこの俺だし、跡継ぎとして、今住んでいるこの家も、ほかの財産も全部俺が相続するからな」と念を押しました。
35歳で10年前に遠方に嫁いだ長女Cは「ちょっと待ってよ、同居の家族が親の面倒を見るのは当たり前でしょう。
兄貴なんて実家にタダで住まわしてもらっていたようなものだし、私が知らない土地に嫁いで、どれだけ苦労していると思っているのよ。
それに、面倒を見た、面倒を見たって、母さんが倒れたのたったの1ヶ月前じゃないか、それまではピンピンしていたんだから。
それから、いまどき跡継ぎだからなんて通用しないんです。
法律で、ちゃんと子供の相続分は均等にときめられているんだから」とまくし立てられました。
私「お前は短大の学費を出してもらっただろう」というと長女C「兄貴だって商売を始める時にお金出してもらっているじゃないのさ」私「墓守だって俺がしていくんだからな」長女C「よく言うよ。
お父さんの墓守だって、お母さんがお兄ちゃんが全然しないから私の死んだ後が心配なのなんてこぼしてるの、よく聞いてたよ」私「そんなこと言ったって、家屋敷の他にはほとんど貯金はないぞ」長女C「じゃあ、この家と土地を売って、現金で分けてよ。
兄貴も少しは借家住まいの辛さをを味わったらいいのよ」という感じで、言い争いは延々と続き、泥沼化してしまいました。
やがては調停となり、ついには裁判にまで突入しました。
裁判の結果は、ほぼ長女Cの要求通りとなり、長男の私は今や借家住まいです。
人間は、誰もが欲を持っている生き物です。
相続は、相続人にとっては不意にやってくる棚からぼた餅という側面があるのも事実であり、しかもその千載一遇のチャンスは二度とめぐってきません。
そんなときに、人としての欲を抑える重石役を果たす人は、もういないのです。
家族の仲が良いということは、とても素晴らしいことです。
でも、家族の誰かが亡くなったあともそうである保証はどこにもありません。
ならば、少なくとも家族仲を悪化させる可能性がある危険の芽は、早めに摘んでおいてほしいものでした。
私や長女などに両親の死後も変わらず仲良く暮らして欲しいのだからこそ、転ばぬ先の杖できちんとした遺言書を書いておいて欲しかったです。
それが将来の家族仲を保証する素晴らしい保険となり得たのだから。

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